第1回緊急調査と救出したムジナモの自生復活へ向けた取り組み
1976年から羽生市によって実施された緊急調査には多くの埼玉大学の教員が関わりました。水面の被膜に高濃度で含まれるマンガンイオンの影響や、植食性水生動物の対策などが調査検討されました。また大規模なボーリング調査が実施されて宝蔵寺沼の成り立ちや地下の様子が明らかになりました。

宝蔵寺沼の地下には植物の遺体や泥が堆積した泥炭質からなる深い地下谷があることが示されました。泥炭層から滲み出る弱酸性の腐植酸はムジナモの生育に適していることが分かっています。

緊急調査の結果を踏まえて様々な対策が考えられました。井戸を掘って井戸水を放水することによって水面の被膜を除き、ムジナモを食べるウシガエルのオタマジャクシを減らすためにライギョなど肉食魚を放流しました。また、金網で囲った堀でムジナモの増殖実験を繰り返しました。

宝蔵寺沼からムジナモが消失する前に救出された宝蔵寺沼のムジナモは、地元の羽生市ムジナモ保存会会員により自宅の庭先で大切に育てられ、自生地の一画への放流実験に用いられました。

金網に囲まれた自生地の一画で、ムジナモは夏の間は元気に増殖し、繁茂するようになりました。

及びムジナモ水生植物の放流増殖実験
Environmental Changes of the Natural Habitat of Aldrovanda vesiculosa L. at Hozoji Pond, Hanyu City, 2006 ~ 2010, and Planting Experiments of Some Water Plants into the Pond
生命歯学部柴田千晶*
名誉教授小宮 定志**
* Department of Biology. The Nippon Dental University, Fujimi, Chiyoda-ku, Tokyo 102-8/59, JAPAN
* * Professor Emeritus, The Nippon Dental University
日本歯科大学紀要 第40巻:69~101 (2011)
1982年に発行されたさいたま郷土かるたでは「宝蔵寺沼ムジナモ国の記念物」の取り札として美しいムジナモの絵が描かれています。

埼玉県教育委員会
埼玉県子ども会育成連絡協議会
また1997年に発行されたふるさと切手には、埼玉県羽生市にあり、国の天然記念物に指定されているムジナモ自生地が描かれています。

宝蔵寺沼ムジナモ自生地を復元する努力は続いていましたが、年間を通してムジナモが生育する状況にはなかなか至らなかったため、1998年に発行された埼玉県初のレッドデータブック植物編ではムジナモは「野生絶滅」の判定となりました。 その後、2005年の第2版、2011年の第3版でも「ムジナモは野生絶滅」の判定が続きました。

2006年には国指定40周年の記念事業が羽生市によって開催され、ムジナモ自生地を保護してきた軌跡が紹介されました。
